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散光式警光灯

散光式警光灯はパトカーの屋根に装備された固定式の赤色灯(警光灯)で、従来の単灯式よりもレンズ部分が大型化され、一部を除き複数の光源で作動するため光の拡散力が高められています。

また、レーダー搭載車や一部機種を除きスピーカー一体型となっており、高い位置に装着されるため音の拡散力も高くなっています。

積雪地に配備される車両は、一部を除きスピーカー部分に金属製の防雪カバーが装着されています。

散光式のうち、メーカー名が記述されていない機種は全てパトライト製です。

単灯式警光灯

円柱型
(円柱型)

散光式が登場する以前に使用されていた1灯式の警光灯です。

最初期のものは円盤型で、フロントガラス上部に装備されていました。

1960年代に回転式の反射板を搭載して視認性を高めた円柱型が登場し、1970年代まで主力となります。

1980年代に入ると散光式が主流となりますが、円柱型は現在も生産されており、一部車両では2000年代以降も採用されています。

角型

スクエア型
(スピーカー一体型、佐々木電機製)
スクエア型
(スピーカー一体型、小糸製)
スクエア型
(スピーカー分離型)

散光式警光灯としては最も古いタイプで、角張ったレンズが特徴です。

1977年に佐々木電機製作所(後のパトライト)が日本初の散光式警光灯、スクエア型を発売しました。

小糸製作所からも同様の製品が発売されており、スピーカーグリルの形状で判別可能です。

スピーカーは警光灯と一体ですが、分離することも可能で、スピーカーの位置に速度測定用のレーダーを搭載することも可能です。
国費導入車では1980年代前半から中頃にかけて採用されています。

後継機種の登場でスピーカー一体型は白熱電球式が1992年度、ハロゲン式が1995年度に生産終了となりましたが、スピーカー分離型はエアロダイナミックシリーズとして2019年度まで生産されました。

バー型(第1世代)

警光灯の形状を筒状にすることで空力性能が高められています。

エアロダイナミック

エアロダイナミック
(スピーカー一体型)
エアロダイナミック
(スピーカー分離型)

1980年代中頃に登場しました。

レンズ部分とスピーカー部分の一体感があるデザインが特徴です。

白黒パトカーでは1990年代には採用されなくなりましたが、スピーカー分離型やスピーカー一体コンパクトタイプ、大型車用などラインナップが豊富で、後継機種が登場しないタイプもあり、機動隊車両を中心に2000年代以降も採用されており、2019年度まで生産されていました。

ハロゲン式の他、白熱電球式も設定されていましたが、スピーカー分離型を除き1992年度に生産終了されています。また、スピーカー分離型に限りLED仕様も存在します。

小糸製作所からも類似の機種がM型として発売されており、スピーカーグリルの形状が異なる他、スピーカー一体型のLED仕様も存在します。

エアロソニック

エアロソニック

1980年代末に登場しました。

エアロダイナミックよりもレンズ部分が薄型化され、空力性能が高められています。

当世代より白熱電球仕様が廃止され、ハロゲン仕様となっています。

1990年代前半〜中頃に主力で、2000年代に入っても一部車両で採用されています。

スピーカー部分にレーダーが搭載できるのは当機種が最後のため、2010年代以降でもレーダー搭載車はエアロソニックが採用されています。

ワイドビーム

ワイドビーム

エアロダイナミックの角に丸みを持たせたようなデザインです。

一般的な白黒パトカーではほとんど採用されておらず、事故処理車や大型車への採用がメインです。

当初はハロゲン仕様とキセノン仕様のみでしたが、後にLED仕様が登場しています。

2019年度に生産終了されています。

薄型ストレート

薄型ストレート

ワイドビームを薄く平べったくしたような形状です。

遊撃車I型や中型護送車などマイクロバスベースの一部車両以外ではほとんど採用されていません。
スピーカー分離型のハロゲン式が基本ですが、消防車両向けの標識灯付きに限り、スピーカー一体型やLED式が設定されています。

2019年度に生産終了されています。

ブーメラン型(V型)

警光灯の形状をV字に曲げることで、視認性と空力性能を高めています。

1990年代後半以降主力の形状です。

いずれもスピーカー一体型で、分離型の機種は存在せず、スピーカー部分にレーダーを搭載することも構造上不可能です。

エアロブーメラン

エアロブーメラン

1996年に登場しました。

特許の絡みから他社から同形状の警光灯が当面の間登場せず、1990年代後半〜2000年代の定番機種となっていました。

大型車用も設定されましたが、設置面積を多く取るため装着車は少なく、バー型が採用されることが多かったです。

2015年度に生産終了されています。

エアロブーメランII

エアロブーメランII

2005年に登場しました。

従来よりも視認性が高められており、2000年代後半以降主力の機種ですが、大型車用は用意されておらず、他機種がカバーします。

当初はハロゲン仕様のみでしたが、後にLED仕様が登場しています。

LED110

LED110BRSX
(LED110BRSX)
LED110BRSX2
(LED110BRSX2)

2010年小糸製作所初のV型(商標権の都合上ブーメランとは呼ばない)警光灯として登場しました。

全機種LED仕様でスピーカーが中央上部に配置され、グリル部分も赤いのが特徴です。

最初に登場したのがLED110BRSXで、2013年頃に改良型のLED110BRSX2が登場しており、スピーカーグリルの形状が異なります。

200系以降のクラウンパトカーに標準採用されているため、比較的目にする機会は多いですが、他車種では登場直後に少数採用された程度です。

特装車メーカー各社への販売は短期間で終了しており、現在はトヨタカスタマイジング&ディベロップメント(旧トヨタテクノクラフト)の特装車など一部ルートのみで供給されています。

バー型(第2世代)

2010年代に入り、オールLED点滅式で反射板の回転機構を持たない薄型のバー型警光灯が登場しています。

警視庁では積極的に採用されているものの、国費ではほとんど採用されておらず、まだ主力とは言えません。

エアロホーク

エアロホーク

2015年頃に登場しました。

警視庁では2010年代後半から主力機種となっており、白黒パトカーやトラック型車両など幅広く採用されています。

国費ではしばらく採用例がありませんでしたが、2019年度にレスキュー車で初採用されています。

エアロウイング

エアロウイング

2018年頃に登場しました。

スピーカー分離型や小型タイプなどエアロホークよりも派生機種が充実していますが、大型車用は設定されていません。

警察車両では一部の事故処理車に採用されている程度でまだ少数ですが、エアロソニック1機種を除きスピーカー分離型ハロゲン警光灯が2019年度で全て生産終了となったため、今後採用が増えるものと思われます。

2020年度から警視庁でエアロホークに代わり本格的に採用されており、2022年度にスピーカー分離型がエルガミオ大型輸送車で国費初採用されています。

フリックス

フリックス
(スピーカー分離型、提供:北九pcさん)

名古屋電機工業製の警光灯です。

全体的に角ばっているのが特徴で、スピーカーが基台と一体になっています。また、スピーカー分離にも対応しています。

2018年度配備の誘導標識車で国費初採用されています。 < BACK << TOP