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サイレンアンプ

サイレンアンプはサイレン音を電子的に吹鳴させる装置です。

機械的にサイレン音を鳴らすモーターサイレンに代わり1960年代に登場しました。

警察での採用は、1970年初頭〜80年代に騒音対策の一環として警視庁で「ウー」音に代わり独自の「ファンファン」音が採用され、その電子音を鳴らすためにサイレンアンプが搭載されました。

1980年代以降「ファンファン」音を使用しない他警察でもサイレンアンプが採用されています。

機能

緊急走行時にサイレンを鳴らす以外にも様々な機能が搭載されています。

電源スイッチが装備されていますが、エンジンの状態とは無関係に作動するため、エンジンオフ時はアンプの電源を切らないとバッテリー上がりの恐れがあり注意が必要です。

警光灯操作機能

サイレンアンプでは最も使用される機能です。

110番通報があっても緊急走行することは稀で、実際には警光灯のみ作動させて出動することが多いです。

初期のアンプは警光灯のスイッチが独立していましたが、1990年代以降はアンプから警光灯の操作が可能になっており、筐体も1DINサイズが主流となっています。

警光灯やアンプの機種によっては単に警光灯をオン/オフできるだけでなく、回転(警光灯内部の反射板を回転させる)と点滅(ランプの点滅のみさせる)を切り替えることが可能です。

サイレン機能

一番メインの機能です。

警光灯操作に対応した機種はサイレンの吹鳴に連動して警光灯が作動します。

使用状況に応じたモードが搭載されています。

自動4秒 4秒周期でサイレン音の吹鳴を繰り返します。
自動8秒 8秒周期でサイレン音の吹鳴を繰り返します。
手動 ボタンを押している間サイレン音を吹鳴します。
足踏み(フット) 助手席足元に装備された足踏みスイッチを踏んでいる間サイレン音を吹鳴します。
テスト(モニタ) 動作確認のため小音量でサイレン音を吹鳴します。

拡声器機能

初期の頃から搭載されている機能で、アンプに接続されたマイクで放送が可能です。

電源が入っていればどんな状態でも使用可能で、サイレン音吹鳴時は音が減音され、放送が聞こえやすくなっています。

マイク端子は標準サイズのフォーン端子が採用されている機種が多く、形状が同じであれば他社製マイクでも互換性があります。
パトライト製SAP-520シリーズはメタルプラグのため、他の機種とは互換性がありません。

外部音声再生機能

マイクによる肉声ではなく、あらかじめ用意した広報用などの外部音源を再生する機能です。

外部入力端子にテープデッキ等の音響機器が接続できるほか、録音再生機能付きの機種ではマイクで内蔵メモリーにメッセージを録音することが可能です。

端子は主にミニジャックが採用されており、メーカーや機種によってテープや補助など名称が異なります。

パトライト製SAP-520シリーズではSDスロットが装備されており、カード内部の音声ファイルが再生可能です。

メーカー

警察車両向けは主にパトライト、松下通信工業、クラリオンが採用されています。

他にも大阪サイレン製作所製が存在しますが、基本的に消防車両向けで、警察車両は一部のレスキュー車など皆無に等しいです。

2021年にトヨタカスタマイジング&ディベロップメント製が登場しています。

パトライト製

SAP-500BK-PV
(SAP-500シリーズ)
SAP-520PB-K
(SAP-520シリーズ)

現在警察車両で主流のメーカーで、角張ったボタンが特徴です。

当初の社名は佐々木電機製作所で、パトライトはブランド名でしたが、1994年にブランド名が社名に変更されています。

サイレンアンプの生産開始は1980年代中頃と遅かったですが、1990年代にトヨタ車を中心に採用され、2000年代以降は他車の生産撤退によりシェアを独占しています。

1990年代から20年以上に渡りSAP-500シリーズが発売されましたが、2010年代中頃にはSAP-520シリーズが登場しており、SAP-500シリーズが生産終了された2016年度以降本格的に採用されています。

松下通信工業製

WF-115A
(WF-115シリーズ)

丸みを帯びたボタンが特徴です。

1970年代には生産開始されており、1980年代には幅広いメーカーで採用されましたが、1990年代になると日産車が中心となります。

当初はナショナルブランドでしたが、1DINサイズのWF-115シリーズ発売以降はパナソニックブランドとなります。

2003年にグループ再編で社名がパナソニックモバイルコミュニケーションズに変更され、ユニペックスに生産が移管されましたが、この頃になると日産車でもパトライト製が採用されるようになり、警察車両への採用は僅かとなっています。

クラリオン製

松下製同様古くから存在しており、1980年代には幅広い車種に採用されていました。

1990年代になると採用車種は少数となっており、2000年代には生産終了されています。

トヨタカスタマイジング&ディベロップメント製

TCD-PT-010
(TCD-PT-010、提供:もっくんさん)
特装車メーカーが独自に開発した製品です。e deckの製品名が付けられています。

2021年登場の220系クラウンパトカーに標準採用されています。

ボタン表記がピクトグラムのみになっているのが特徴で、昇降機の操作に対応した機種はパトライト製以外では初めてです。
また、中央に時計兼動作内容表示用の画面が装備されています。

同社製特装車を中心に採用されており、製品カタログが公開されているため他社への供給も可能と思われますが、クラウン以外の警察車両へ広がるかは不明です。 < BACK << TOP