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YPY31セドリックパトカー特集

共通事項

Y31型のセドリックパトカーは1987年に登場し、2002年まで製造されました。

エンジンは一貫してV6SOHCで3000ccのVG30E(160ps)で、市販車にはない5速MTの組み合わせでした(AT車も少数ながら存在。VG30E+5MTの組み合わせ自体はD21テラノに設定あり)。また、エンジン性能や変速比の変化はありませんでした。

サスペンションは自家用グレード同様、フロントがストラット、リアがセミトレーリングアームとなっており、リアサスの構造からテールを沈めながら加速するのが特徴です。

外装

外観はサイドモール無し、フロントエンブレム無し(覆面)、14インチ銀色スチールホイール、グレードエンブレム無しなど安っぽいですが3000ccなので大型バンパーです。

ホイールは外観が営業車オリジナルとほとんど変わりませんが、リム幅が異なっており、営業車用が5Jなのに対し、パトカー用は5.5Jとなっています。銀色5.5Jはパトカー専用ですが、ホイールキャップ装着前提の黒色5.5Jは市販車にも設定されています。

フェンダーミラーが標準ですが、電動格納式メッキドアミラーもオプションで選択可能です。2001年度に国費導入された覆面はドアミラー仕様で配備されています。

覆面の前面警光灯はフロントグリル内側への装備が標準ですが、自動開閉カバー付き角型警光灯のオートカバー仕様も存在しており、2001年度国費車はオートカバーで配備されています。

ワイパーは寒冷地仕様及び営業車の一部グレードと同様、跳ね上げ式を採用しました。

白黒塗装のカラーコードは1M7で、白色部分がピュアホワイト(621)、黒色部分がスーパーブラック(KH3)です。

内装

内装色は営業車の廉価グレードと同じブルーで通称青内装と呼ばれており、手動ウインドウにビニール張りのシートなど、造りも実用仕様で飾り気がありません。

シートは後席は営業車と共通ですが、前席は営業車とは異なりシートバックグリップが非装備です。

ルームミラーは白黒が上下2段タイプ、覆面は左右並列タイプが採用されています。

通常のセンターコンソールでは各種装備が収まり切らないので特装コンソールと呼ばれる専用設計のセンターコンソールを装備しています。ただし、レーダー搭載でストップメーターを装備しない車両の一部には標準仕様も存在します。

グローブボックスの位置に無線機格納スペースが確保されているため、トランクルーム内のリアナンバープレート裏に車検証入れが装備されています。

サイレンアンプは松下通信工業製とパトライト製の両方が存在します。

前期型

国費導入車1台あたりの価格
年度 交通取締用四輪車※ 交通取締用四輪車(反転警光灯)
1988 238万円(高速道路用) -
1989 224万円(一般道路用) -
1990 249万円(一般道路用) 237万円
※1994年度まで一般道路用と高速道路用に分けて入札を実施
1987年に登場しました。

外観は営業車(タクシー仕様)のオリジナル(営業車の最廉価グレード)に大型バンパーを組み合わせたものですが、ライトは丸目4灯ではなく角目2灯タイプ、テールランプの縁はメッキでした。ラジオアンテナは自家用モデルだとリアの左側に電動タイプが装備されるのが通常ですが、パトカーは営業車のオリジナル、カスタムと同じ、右側に手動タイプのものが装備されました。

フェンダーミラーはパトカー専用の電動リモコン黒色タイプです。

車内はオーナータイプインストに営業車用ステアリングが組み合わされました。オーディオはアナログ式AMラジオです。ストップメーターは当初アナログ式でしたが、後にデジタル式に変更されました。Y30型ではオプションだったパワーステアリングが当代より標準装備されました。

サイレンアンプは松下(ナショナル)製WF-112が標準です。

フォグランプはオプションで、フロントバンパー外付けの角型イエローレンズが設定されました。後に内蔵フォグランプの設定が無いクルーパトカーにも採用されています。
当年代の国費の白黒と交通覆面は仕様でフォグランプの装着が必須となっており、非装着車は基本的に県費車となります。

警光灯は当初エアロダイナミックが標準でしたが、配備車の多くはエアロソニックが装備されており、エアロダイナミックは主にレーダーや採証用ストロボ搭載車用です。

1989年には一部改良でテールランプのデザインが変更されました。また、ステアリングホイールも営業車タイプから、自家用と同型に変更されました。

1990年度にVG20Eを搭載した2000cc警ら仕様としてグロリアのパトカーが国費配備されました。
詳細はグロリアのページを参照。

当世代はMTのみですが、ATの交通白黒パトカーとして警視庁にV30Eブロアム(PY31)ベースの車両が配備されていた模様です。

この他、交通覆面ベースの警護車・警衛車や暴走族対策車両としてマグネット式警光灯仕様の車両が存在します。

中期型

国費導入車1台あたりの価格
年度 交通取締用四輪車※ 交通取締用四輪車(反転警光灯)
1991 251万円(高速道路用) トヨタが落札
1992 258万円(高速道路用) トヨタが落札
1993 230万円(一般道路用) -
1994 230万円(一般道路用) 244万円
※1994年度まで一般道路用と高速道路用に分けて入札を実施

1991年に登場しました。当世代よりYPY31にもAT車が設定されましたが、主に道路巡回車向けで、パトカーでは県費の覆面で極少数存在した模様ですが、白黒は未確認です。
この代よりグロリアもパトカー仕様として正式に型式認定を受けました。(型式YY31)

外観はテールランプの縁がオリジナル同様シルバー塗装になりましたが、代わりに電動リモコンメッキフェンダーミラーが装備されました。また、グロリアも大型バンパーとなりました(同時にグレードエンブレムも廃止)。楕円型トランクキーシリンダーを採用し、カバーも装備されました。
当世代より営業車オリジナルにもフロントエンブレムが装備されており、非装備はパトカー仕様のみです。

ベース車のヘッドライト組み込み型フォグランプ採用に伴い、パトカーでもフォグランプが標準装備されました。

自家用は4本スポークステアリングが採用されましたが、パトカーは営業車用2本スポークステアリングです。

サイレンアンプは1DINサイズの松下(パナソニック)製WF-115が標準となり、アンプから警光灯の操作が可能となりました。

1993年の一部改良でメーター、ステアリングのデザインが変更され、営業車のラジオは電子チューナー式に変更されましたが、パトカーは後期型になるまで従来通りのアナログ式を装備していました。

車内
中期型の車内です。パトライト製サイレンアンプ装備です。ステアリングのデザインが変更された1993年以降の車両ですが、アナログAMラジオを装備しています。(提供:みやびさん)

後期型

国費導入車1台あたりの価格
年度 交通取締用四輪車※ 交通取締用四輪車(反転警光灯)
1995 249万円 252万円
1996 237万円 237万円
1997 224万円 トヨタが落札
2001 トヨタが落札 227万円

1995年に登場しました。2000cc警ら仕様のグロリアはクルーの登場に伴い廃止されました。AT車の設定自体は元々ありましたが、カタログに諸元が掲載されるようになったのは後期型の途中からです。

従来は5ナンバー車と共通だった3ナンバー車のフロントグリルが専用設計になった関係で、パトカーもメッキグリルになり、それに合わせてリアのテールランプの縁がメッキになりました。また、フロントバンパーの形状変更により全幅は1705mmから1695mmに縮小されました。

4本スポークステアリングとなり、安全装備として運転席エアバッグとABSが設定されました。オーディオは営業車で先に採用されていた電子チューナー式AMラジオが装備されました。自家用の青内装はグレーに変更されたため、営業車以外ではパトカーと教習車専用になりました。

警光灯はエアロソニックのみでしたが、途中からエアロブーメランが選択可能になりました。

車内
後期型の車内です。松下製サイレンアンプ装備です。インパネの形状は中期型と同一ですが、4本スポークステアリングと電子チューナー式AMラジオに変更されています。

後期最終型

1998年に一部改良され、後期最終型になりました。1999年には平成10年排出ガス規制に適合し、ゾーンボディの採用で衝突安全性が向上しています。

オーディオがAM/FMラジオに、ラジオアンテナがガラスプリントタイプに変更され、ヘッドライト組み込み型フォグランプが黄色に変更されました。

インパネのデザインも変更され、助手席エアバッグがオプション設定されました。最終型のオーナーインストで自家用タイプのエアバッグ付き4本スポークステアリングで助手席エアバッグ非装着なのはパトカーと特装車扱いで設定されたブロアムのVG20LPGのみです。オプションだったマニュアルエアコンが標準装備になりました。また、灰皿の位置はシフトレバー横から後ろに変更されました。
この世代は運転席のみエアバッグを装着した車両が多いですが、レス仕様が存在するかは不明です。

センターコンソールが標準仕様の車両は通常だとオーディオスペースの空きが無いため、エアコンスイッチを料金メーター収納スペースに移設し、サイレンアンプを搭載しています。

覆面のボディカラーは自家用モデルに準じますが、中でも当世代のみ設定された銅色のグレイッシュベージュは台数が少なく、大黒パーキングエリアに隣接する神奈川県警高速隊大黒分駐に配備されていたことから一部で「大黒カラー」と呼ばれています。

2001年度に交通覆面が国費配備されており、ドアミラー、オートカバーが装備されています。オートカバーはこれまでも県費で少数採用されていましたが、いずれもフロントグリル外側に装備されており、国費車はフロントバンパーのナンバープレート両脇に装備されています。

1999年度にY31セダンの警護車が国費配備されていますが、パトカー仕様ではなく市販車の3000クラシックSV(PY31)がベースです。

車内
後期最終型の車内です。松下製サイレンアンプ装備です。日のあたり方のせいで内装がグレーっぽく見えますが、実際は青いです。交通課の車両なので装備は最低限のものしかありません。センターコンソールはサイレンアンプとストップメーターを装備するため、専用設計となっています。また、灰皿の位置にラジオが装備されるため、灰皿はシフトレバー後部に装備されます。
車内
こちらはパトライト製サイレンアンプ装備です。エアバッグは運転席のみ、パワーウインドウは無いのにちょっとウッドパネルが付いていたりと市販車とは違う雰囲気です。研修用のため、APR-ML1型の無線機ではなくトランシーバー装備です。また、ABSのキャンセルスイッチも装備しています。
AT車
AT車も少数存在します。市販車同様足踏み式パーキングブレーキで、コンソールボックスも布張りです。灰皿はカップホルダーの位置に装備されています。
助手席エアバッグ
助手席エアバッグ装着車です。北海道警、群馬県警、埼玉県警、警視庁などに装着車の導入が確認されています。

詳細な設定時期は不明ですが、「パトカー裏バイブル」によれば少なくともこの代から警察用にも全席パワーウインドウが設定されました。実際に警視庁にパワーウインドウ装着車が配備されましたが、前席のみの装備となっており、後席は標準の手動式です。また、前席ドアのみ、スーパーカスタムと同様の布張りドアトリムとなっています。
後に営業車の廉価グレードにも全席パワーウインドウが設定されましたが、手動ウインドウと同一のドアトリムの仕様はサンクスパワーウインドウ(運転席+後席左のみ)しか存在しないため、手動ウインドウとは異なるドアトリムとなっています。ただし、シートがビニール張りのオリジナルとカスタムは、布張りと同じ形状のドアトリムを採用しつつも表皮はビニールとなっています。
パワーウインドウ
パワーウインドウ装着車の車内です。ドアトリムは布張りとなっています。(提供:もっくんさん)

2002年に生産終了となり、15年の歴史に幕を閉じました。

警察以外のYPY31

YPY31は警察以外にも旧日本道路公団向けの道路巡回車や、献血供給事業団向けの血液運搬車が存在します。前者は警察用と異なり中期型以降パワーウインドウと電動ラジオアンテナを装備しています。

本四公団パトカー。日産セドリックY31(前期マイナーチェンジ後)。ご覧の通り後期型ですがグリルは前期型のままという、警察パトカーと同じ外観。もちろん5MT。1996年3月 坂出IC#セドリック #パトカー #Y31 #本四公団 pic.twitter.com/nEbG3mufRp

— いぶき工房 (@ibukikobo) 2020年12月24日
前期型の道路巡回車です。警察同様MT車で手動ラジオアンテナです。(Twitterより)
道路巡回車
民間に払い下げられた中期型の道路巡回車です。AT車で電動ラジオアンテナと前席のみパワーウインドウが装備されています。

主要諸元(セドリック)

前期型

グレード オリジナル
型式 E-YPY31
変速機 5MT
全長(mm) 4860
全幅 1705
全高 1620
重量(kg) 1400
エンジン VG30E/160ps
性能は市販車と共通
変速比 1速:3.580
2速:2.077
3速:1.360
4速:1.000
5速:0.811
後退:3.636
減速比:3.700
タイヤ 195/70R14 91S

中期型

仕様 MT車 AT車(ABS装着車)
グレード オリジナル オリジナル
型式 E-YPY31 E-YPY31
変速機 5MT 4AT
全長(mm) 4860 4860
全幅 1705 1705
全高 1610 1610
重量(kg)※ 1410 1470
エンジン VG30E/160ps
性能は市販車と共通
VG30E/160ps
性能は市販車と共通
燃費(60km/h定地) 16.9km/l 16.9km/l
変速比 1速:3.580
2速:2.077
3速:1.360
4速:1.000
5速:0.811
後退:3.636
減速比:3.700
VG30E搭載の市販車と共通
タイヤ 195/70R14 91S 195/70R14 91S
※エアコン装着車は+30kg。

後期型

仕様 MT車 AT車
(ABS、エアバッグ装着車)
グレード オリジナル オリジナル
型式 GF-YPY31 GF-YPY31
変速機 5MT 4AT
全長(mm) 4860 4860
全幅 1695 1695
全高 1610 1610
重量(kg) 1430 1480
エンジン VG30E/160ps
性能は市販車と共通
VG30E/160ps
性能は市販車と共通
燃費(60km/h定地) 16.9km/l 16.9km/l
変速比 1速:3.580
2速:2.077
3速:1.360
4速:1.000
5速:0.811
後退:3.636
減速比:3.700
VG30E搭載の市販車と共通
タイヤ 195/70R14 91S 195/70R14 91S
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